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人を見ることから、始めよう

10月1日
読了時間: 4分

■ 経営者は、「数字」を見ている。でも「人」を見ているだろうか。

売上、利益、客数、生産性。

経営をしていれば、毎日のように数字と向き合います。

数字は、会社の状態を教えてくれる大切な情報です。

しかし、数字だけでは見えないものがあります。


社員は今、どんな気持ちで仕事をしているのか。

お客様は、本当に満足しているのか。

そして、その人はどこへ向かおうとしているのか。


もしかすると経営に必要なヒントは、報告書やデータの中だけではなく、目の前にいる人の中にあるのかもしれません。


■ 問題を見るより、その人の「未来」を見る

先日、ある経営者がコーチングの公開セッションを受けました。

最初に語られたのは、人生にも関わるような大きな悩みでした。

ところが対話を重ねていくうちに、


「まず経営理念を自分で考えよう」

「それを社員と分かち合おう」

「社内教育をしっかりやろう」


と、自分自身で次の一歩を見つけていきました。

わずか30分ほどの出来事です。


そこで大切にされたのは、問題や感情だけを掘り下げることではありません。


これまで何ができたのか。

どんなことを乗り越えてきたのか。

これからどうなりたいのか。


過去の経験の中にある「できたこと」に目を向け、そこから未来のゴールを考えていく。

目標が見えれば、現在とのギャップも見えてきます。

すると、「今、何をすればいいのか」も少しずつ明確になっていきます。

■  人を育てるとは、答えを教えることではない

部下から相談されたとき、

「それなら、こうすればいい」

と、すぐ答えを教えていないでしょうか。


経験豊富な経営者ほど、答えが見えるのは早いものです。

しかし、その答えは「経営者の答え」であって、本人の答えとは限りません。

人財開発で大切なのは、その人自身が目標を見つけ、自分の足でそこへ向かえるようにすること。

だからコーチングは、一度話を聞いて終わりではありません。

ゴールを一緒に確認し、行動を後押しし、成果が出るまで継続して関わる。


人を育てるとは、答えを与えることではなく、その人が前へ進める状態をつくること。


そんな見方もできるのではないでしょうか。

■ お客様の「本音」は、アンケートだけでは見えない

人を見ることの大切さは、社員だけではありません。


ある企業が開催したイベントには、全国から約150人のお客様が集まりました。

経営者自身がスタート地点とゴール地点に立ち、一人ひとりの顔を見て声をかけました。

そこで感じたのは、「リアルで会うこと」の力でした。


楽しそうな表情。

少し不安そうな顔。

ゴールしたときの声。

スタッフとお客様との何気ない会話。


アンケートなら「満足」と一言で終わってしまうことも、その場にいれば、その奥にある感情まで感じ取ることができます。

そして、


「あのお客様は、なぜこんなに喜んでいるのだろう?」

「この表情には、何か不満が隠れているのではないか?」


そんな問いが生まれます。

そこに、次のサービスや商品を良くするヒントが隠れているのかもしれません。


■ 効率化の時代だからこそ、あえて「会う」

オンライン会議、チャット、AI、データ分析。


私たちは以前よりずっと効率よく仕事ができるようになりました。

離れた場所にいる人とも瞬時につながり、必要な情報もすぐに手に入ります。

これは大きな進歩です。

だからこそ、改めて考えたいことがあります。


効率化できない時間にこそ、価値があるのではないか。


同じ場所に集まる。

顔を見る。

声を聞く。

雑談する。


一見すると、とてもアナログです。

しかし、その時間からしか得られない情報があります。


便利になったからリアルが不要になったのではなく、便利になったからこそ、

「何のために会うのか」がより大切になったのではないでしょうか。


■ 人を見ることから、経営は始まる

社員を育てたい。

お客様にもっと喜んでもらいたい。

良い組織をつくりたい。


そう考えたとき、制度や仕組みを変えることももちろん必要です。

しかし、その前にできることがあります。

目の前の人を見ることです。


「最近どう?」と声をかける。

表情を見る。

話を聞く。


そして、その人がどこへ向かいたいのかを一緒に考える。


経営とは、数字を動かすことだけではありません。

数字の向こう側には、必ず「人」がいます。


人を見て、人の声を聞き、人の可能性を信じる。


そんな一見アナログな営みが、これからの時代だからこそ、企業の大きな力になるのではないでしょうか。



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