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相談できる組織をつくる

■ 若手ばかりを見ていませんか?

「社長、最近僕らのこと、見てくれてないんちゃいますか?」

ある経営者が、幹部社員から実際に言われた言葉です。


人手不足が続く今、多くの企業が若手社員の採用や定着に力を注いでいます。


新卒社員には丁寧に声をかける。

若手が辞めないように面談する。

働き方や価値観の違いにも気を配る。


もちろん、どれも大切なことです。


しかし、その一方で見落としている人はいないでしょうか。


これまで会社を支え、経営者と一緒に走ってきた30代、40代の幹部社員たちです。


■ 頑張れる人ほど、相談できない

今、幹部社員の離職に悩む企業が増えています。


その背景には、一つの特徴があります。


責任感が強い。

仕事ができる。

困難を自分の力で乗り越えてきた。


だからこそ、なかなか「助けてください」と言えないのです。


部下が思うように動かなければ、自分でやる。

若手社員に厳しく指示して辞められては困るから、自分でやる。

業績、会議、勤務シフト、人間関係――。


気づけば仕事も悩みも自分一人で抱え込み、いつしか飽和状態になってしまう。


そして経営者から見れば、


「彼なら大丈夫だろう」


と思っていた人が、突然「辞めたい」と言い出す。


本当に突然だったのでしょうか。

■ 「報・連・相」で一番難しいのは「相談」

私たちは昔から「報告・連絡・相談が大切」と教えられてきました。


しかし、三つは同じではありません。


報告は、起きたことを伝える。

連絡は、情報を共有する。


一方、相談には相手との対話が必要です。


「困っています」

「どうしたらいいでしょうか」

「力を貸してください」


こうした言葉を口にするには、勇気が必要です。


特に、自分の力で乗り越えることを求められてきた世代ほど、「相談する=自分の力不足」と感じてしまうことがあります。


だからこそ、これから必要なのは、社員に「もっと相談しなさい」と言うことではありません。


相談できる関係を、経営者側からつくることです。

■ 「何かあったら言って」は、声かけではない

経営者は忙しい。


幹部社員も、そのことをよく知っています。


だから、


「何かあったらいつでも言って」


と伝えていても、本当に困ったときほど声をかけられないものです。


必要なのは、問題が起きてから相談を待つことではありません。


「最近どう?」

「何か困っていることない?」

「ちょっと話そうか」


そんな小さな声かけを、経営者の側から続けることです。


中村理事長も、若手社員との関わりが増える一方で、いつも会社を支えてくれている幹部社員への関わりが少なくなっていたことに気づいたと語っています。


たった一言、声をかけてもらえるだけでも違う。


組織のコミュニケーションとは、特別な制度をつくることだけではないのです。


■ 変化する会社だからこそ、「相談できる組織」へ

そして今、企業を取り巻く環境そのものも大きく変化しています。


猛暑、水不足、原材料への影響、世界情勢の変化。


これまでのやり方が、そのまま通用するとは限りません。

だからこそ企業には、軸を持ちながらも、環境に合わせて柔軟に変化する力が求められています。


その変化を経営者一人で考えることにも限界があります。


現場を知る社員が気づいたことを話す。

幹部が悩みを抱え込まず相談する。

経営者も社員に相談する。


そこから生まれたアイデアを組み合わせ、新しい付加価値をつくっていく。


相談できる組織は、変化できる組織でもあるのです。


■ あなたの会社の幹部は、相談できていますか?

若手社員を育てることは大切です。

しかし、その若手を育て、現場を動かし、経営者と社員の間に立っているのは誰でしょうか。

多くの中小企業では、それが幹部社員です。

その人たちが会社の中で「陸の孤島」になってしまえば、組織は強くなりません。


相談する力を育てる。

そして、相談される力を経営者自身が磨く。


人と人との関係から、変化に対応できる組織をつくっていく。


社員が一人で抱え込む会社から、共に考え、共に乗り越える会社へ。


それが、人を育て、企業を育て、地域に必要とされ続ける経営につながっていくのではないでしょうか。



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